
Aぇ! groupの佐野晶哉が主演を務める音楽朗読劇「ひまわりの歌〜ヘブンズ・レコードからの景色〜」の東京公演が開幕。有楽町朝日ホールでの初日を迎えるにあたり、フォトコールと取材会が行われ、佐野と波岡一喜、貴城けいが公演に向けた意気込みを語った。
音楽朗読劇「ひまわりの歌」 震災の記憶を未来へ
本作は、劇団ミュ主宰の岡本貴也によるオリジナル作品。2018年、2019年に上演された「ヘブンズ・レコード」を基に、タイトルを変更し、脚本の一部を刷新。阪神淡路大震災から30年という節目に、震災の記憶を未来へ伝えるメッセージを込めて上演される。
物語の舞台は2000年夏、震災から5年後の神戸。中古レコード店「ヘブンズ・レコード」を中心に、4つのストーリーがオムニバス形式で展開される。生演奏や映像を交えながら、震災を経験した人々の葛藤と希望が描かれる。
佐野晶哉「東京公演も覚悟を持って挑みたい」

この日のフォトコールでは、オープニングから第1話までを披露。震災で幼い息子を失った父親が「ヘブンズ・レコード」を訪れ、家族との関係に葛藤しながらも前に進もうとする姿が描かれた。
フォトコール後の取材会で、佐野は1月17日から26日に行われた神戸公演を振り返り、「地元の方々の思いを受け止めながら走り抜けた」と語る。続けて「ここからの東京公演も覚悟を持って挑みたい」と決意を新たにした。
佐野は「どの公演も特別ですが、1月17日の初日は、お客さま全員が『あの日から30年経ったんだな』と噛み締めていらっしゃることを感じました。涙を流している方もいましたし、僕と同じように震災は経験していないけれどもこの作品を通して知ろうとしてくれている方もいたので、物語冒頭でタケルが歌うシーンは稽古とは違う空気感がありました」と思いを馳せた。

貴城けいは、震災当時は宝塚歌劇団に在団。「劇場近くの阪急電車が横たわる光景を見て、大変なことが起きたと感じた」と振り返る。「神戸で震災から30年後の初日を迎えられたことに大きな意味があることだと思います。東京公演も心を込めて務めたい」と意気込みを語った。
波岡一喜は、当時16歳の高校生で大阪で震災を経験。「神戸に転校した中学の同級生が亡くなったという知らせを聞いたり、神戸から高校に転校してくる人がいたりしたので、遠いようで近い感覚がありました。30年が経ち、どこか忘れてしまうところがありましたが、遺族の方が集まり、黙祷をされていらっしゃる姿を見て、忘れてはいけないという思いを再認識しました」と話す。

また、波岡は佐野の印象を聞かれると「全てが素晴らしいです。人柄も、歌も、笑顔も。肌もツルツルピカピカ。初対面の人にもみんなに自ら挨拶して回る姿が素晴らしかったですし、息子みたいに思っています」と絶賛。
貴城も「公演を重ねるごとに磨きがかかっていく。物語最後に歌う歌も芝居を重ねていった上のタケルの歌になっていて鳥肌ものです。涙が出そうなくらい感動しています」と称賛した。
「この舞台が架け橋になれば」 佐野晶哉の思い
取材会の最後に佐野は、「僕はこうして関わらせていただくまで阪神淡路大震災のことを全く知りませんでした。ですが、この舞台をきっかけに両親と話し、両親が当時、どのように過ごしたかなどを知って衝撃を受けました。
そうしたことは絶対に知らなければいけないことだと思います。神戸で初日を終えた後に神戸の街を見たとき、これまでとは全く違って見えました」と語る。
「ここ東京で震災について伝えられることはとても光栄ですし、この舞台が何かの架け橋になれたらいいなと思います。全力で演じさせていただきます」と決意を込めた。
公演概要
タイトル:音楽朗読劇「ひまわりの歌〜ヘブンズ・レコードからの景色〜」
作・演出:岡本貴也
キャスト:
佐野晶哉(Aぇ! group)
貴城けい 加藤虎ノ介 宮地真緒 納谷健 井尻晏菜 島村龍乃介
栗﨑菜緒(W キャスト) 大北怜花(W キャスト)/
羽野晶紀 / 波岡一喜
ピアニスト:溝渕奏
日程・場所
<神戸公演>2025年1月17日(金)〜1月26日(日)神戸朝日ホール
<東京公演>2025年1月30日(木)〜2月8日(土)有楽町朝日ホール
チケット:全席指定9,800円(税込)